日本メディア:東アジア航空市場回復の鍵は中国にあり

中国は「ゼロコロナ対策」継続

新型コロナウイルスによる感染症の拡大で、2020年春以降、世界の多くの国・地域が入国規制を敷いた。その後、感染が収束に向かうにつれ、欧米などは次々と入国規制を緩和。しかし、日本を含む東アジアの国の入国規制はしばらく厳しいままで、「開国」が遅れた。

そんななか、日本では2022年10月11日からやっと、入国数の上限撤廃、外国人の個人旅行も解禁となった。

これら「開国」の動きに合わせ、航空便の増便が相次ぎ、東アジアもやっとコロナ前の時期に戻りつつある。ただ、最も需要が大きい中国はいまだに厳しい入国規制「ゼロコロナ対策」を続けており、航空需要の全面回復にはまだ相当な時間がかかりそうだ。

入国緩和で中国本土以外「増便」ラッシュ

航空各社は入国規制の緩和に伴い、東アジアの運航便を当初の計画より増便する動きが見られる。

例えば、日本航空(JAL)の場合。2022年の10月29日までと10月30日以降、東アジア路線として次を運航する。・成田 = 北京、北京発のみ週1便 ※変更なし・成田 = 上海(浦東)、上海発のみ週1便 ※※変更なし・羽田/成田 = 広州、週1便(羽田発広州行き/広州発成田行き) ※変更なし・成田 = 大連、週4便  →  週2便・成田  =  天津、週3便 → 週1便・羽田 = 香港、週5便・羽田 = 成田、週5便・羽田 = 台北(松山)、週6便 → 毎日運航(1日2便)・成田 = 台北(桃園)、週1便(台北発は週2便) → 週4便・羽田 = ソウル(金浦)、毎日運航 → 調整中

特に、日本および香港の入国規制緩和に合わせて香港-羽田線の再開を10月11日に前倒し、羽田-台北(松山)線も増便して10月31日から毎日2便運航となった。

全日本空輸(ANA)、また、大韓航空、チャイナエアライン、キャセイパシフィック航空などにも、ほぼ同様の動きが見られる。日本の入国緩和を受け、韓国や香港などからの訪日旅行への申し込みも殺到している。

ソウル便に関しては、JAL運航便は10月30日以降が「調整中」となっている。これは韓国政府が11月以降のビザ取り扱いを正式表明していないため。

中国は「運航停止措置」リスクも

東アジアがやっと「開国」ムードに包まれる一方、中国路線には今のところ増便の動きが見られない。

中国は2020年春以降、外国人旅行客の入国を認めていない。中国人の海外旅行における出国もなく、中国発着の国際線は大半が運休のままだ。

国土交通省の資料によると、2019年の夏季スケジュールで、中国方面行きは週1182便あった。大手だけでなく春秋航空や吉祥航空といった格安航空会社(LCC)も、日本と中国の地方都市まで就航していた。それが直近の2022年夏季スケジュールで、日本は成田と関西の各空港のみ週19.5便しか運航されていない。

中国便の少なさは入国の人数制限だけではない。中国民用航空局は、国際旅客便において新型コロナウイルスの感染者が確認された場合に運航停止措置をとっている。全搭乗者の4%以上だと1週間、8%以上だと2週間。乗務員は入国後に「7日 + 3日」の隔離義務もある。

これは2022年8月に緩和された基準で、以前はもっと厳しかった。中国本土には日系企業も多く、日中間の航空需要がないわけではない。だが、航空会社にとって突然の運航停止はリスクが大きく、簡単に増便しづらい事情もあるのだ。

JAL国際線は10月以降、全体の減便率がほぼ半数(50%)まで戻している。東アジア路線の減便が今も非常に多いのが分かる。その多くは中国路線だ。東アジアの航空需要、その本格回復のカギは、やはり中国が握っているといっても過言ではないだろう。

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