女性が離婚後300日以内に出産した子どもを前の夫の子どもと推定する民法の改正案が閣議決定です。
現行法では、離婚から300日以内に生まれた子どもは前の夫の子どもと推定する「嫡出推定」の規定が定められていて、母親が、前の夫の子どもと扱われることを避けるため、出生届を出さず、無戸籍者となるケースが問題となっています。
政府がきょう閣議決定した民法の改正案では離婚後300日以内に生まれた子どもでも母親が再婚している場合は今の夫の子どもと推定するとしています。
また、これに伴い女性のみに規定されていた離婚後100日間の再婚禁止期間は廃止されることになります。
政府は、今国会での法案成立を目指していて、葉梨法務大臣は、きょうの閣議後の記者会見で、「子の利益の保護に繋がるものと考えており、国会において十分審議され、速やかに成立できるよう、努力したい」と述べました。
家族のあり方が多様化する中、「嫡出推定」の規定が見直されるのは、明治時代の「民法」制定以来初めてです。
生まれてきた子どもの父親が誰なのかを、生まれた時期によって決める、民法の「嫡出推定」が見直されることになった。法制審議会は、14日、嫡出推定見直しなどを柱とする、民法改正の要綱をまとめ、古川法務大臣に答申した。
嫡出推定の規定は、明治時代に民法が制定された際にできたものだ。この規定では、母親が離婚後300日以内に生まれた場合、子どもの父親は前の夫。母親が結婚してから200日経過した後に生まれた場合、その子どもの父親は現在の夫と推定されている。
今回の見直しでは、この原則を維持しつつ、離婚後300日以内でも、母親が再婚した後に生まれた子どもであれば、その再婚相手を父親とするとの例外規定が盛り込まれた。
また嫡出推定では、女性が離婚直後に再婚した場合、子どもの父親が、前の夫と現在の夫で重なる時期が生じていた。このため、女性にだけは、100日間、再婚禁止期間が設けられていた。しかし、今回の見直しに伴い、この再婚禁止期間は廃止されることになった。
離婚後に、別の男性との間に生まれた子どもなのに、「前の夫」を父親されるのを嫌がって、母親が出生届を出さず、子どもが無戸籍になるケースが後を絶たないという。前夫からのDVも背景にあるとされている。
一方、民法改正の要綱には「懲戒権」の削除も盛り込まれた。民法では、「親権を行う者は、監護及び教育に必要な範囲内で、その子を懲戒することができる」と規定されている。この親の「懲戒権」は、しつけと称する、子どもへの虐待・体罰を正当化していると指摘されてきた。
「しつけ」名目での虐待は後を絶たず、子どもが命を落とすケースも起きている。児童虐待に対する社会的関心の高まりに合わせて、2年前には、児童虐待防止法が改正され、子どもへの体罰禁止が明記された。「懲戒権」削除は、当然の流れで、早急な法改正が望まれる。