日本ドラマのスクリーンで最も相性の良いカップル&最も悪いカップルを発表! この2つは最も相容れないものなのですか?

《目黒蓮さんも本当に上手だし、川口春奈ちゃんもやっぱり上手だなぁ。女子が好きな人を相手にするとなぜか自然と出てしまうキラキラビームみたいのが、佐倉くんに対してはめっちゃ出てるよね》

《川口春奈可愛すぎるし目黒蓮かっこよすぎるし何より同級生の恋愛良すぎでステキ》

10月6日10時にスタートしたフジテレビの木曜ドラマ『silent』(サイレント)。SNSで話題なのが、Snow Man目黒蓮(25)が演じる佐倉想と、川口春奈(27)が演じる青羽紬のカップル。聴力をほぼ失った想と、紬の温かくも切ないラブストーリーに注目が集まっている。

『silent』のように共感を呼ぶこともあれば、批判が集まることもあるドラマのカップル。理由も役者の組み合わせがしっくりこないだけでなく、ストーリーの設定に無理があったり、恋愛の価値観が時代と合っておらず、反感を買ったりすることも。恋愛事情専門家の神崎桃子さんをご意見番として迎え、似合う?似合わないの評価が集まった理由をひもといていく。

ダントツ1位は『逃げ恥』新垣結衣&星野源

1位の『逃げるは恥だが役に立つ』(’16年、TBS系)は雇用主と従業員という雇用関係で恋愛感情を持たないはずの2人が惹かれ合っていくというストーリー。

(左から)結婚した新垣結衣、星野源

「ぎこちない関係からお互いに惹かれていく様子がリアルでキュンとした」(34歳·千葉県)、「2人がいい関係であるためにどうすればいいか、自分の恋愛の参考にもなった」(31歳·東京都)

演じた新垣結衣(34)と星野源(41)は実際に結婚をしたこともあり、「お似合い」という印象なのは納得の結果。

「恋愛当初のピュアな気持ちを思い起こさせること。そして、この2人が最高なのは“お互いが足りない要素を補う関係”という点にあります。共通点が多い2人の恋愛への発展はよくありますが、結婚においては、自分にないものを相手が持っていることでバランスがとれるのです」(神崎桃子さん、以下同)

2位『大恋愛~僕を忘れる君と』戸田恵梨香&ムロツヨシ

2位の『大恋愛~僕を忘れる君と』(’18年、TBS系)は、若年性アルツハイマーを患う女医と、彼女を明るく支え続ける元小説家の男性の10年もの歳月を描いた純愛話。

戸田恵梨香とムロツヨシ

「リアリティーがあって、とても応援したくなった」(33歳·和歌山県)、「2人の演技があまりに自然で、掛け合いも楽しく、前向きに思えるカップルだった」(29歳·大阪府)

戸田恵梨香(34)とムロツヨシ(46)のコンビを絶賛する声が多くあげられた。「ムロツヨシがカッコよくていい男に見えた」という人も。

「一見普通の男性が次第に“いい男”に変わっていく……そこも見応えがあったのでは? 恋愛というと刺激やドキドキ感を望んでしまうものですが、女性にとっての真の幸せは“自分をどれだけ大事にしてくれるか”“真剣に愛してくれるか”です。いくら女性の扱いがうまくとも、その男性が真剣かどうかは別モノ。むしろ背伸びをしたりカッコつけたりせず、おどけた行動をとるような男性こそ誠実だったりします」

3位『恋はつづくよどこまでも』佐藤健&上白石萌音

3位の『恋はつづくよどこまでも』(’20年、TBS系)は、“魔王”と呼ばれる超ドSドクターにひと目惚れしてナースになった女性が恋に仕事にまっすぐ立ち向かっていく胸キュンラブストーリー。ドSドクターは佐藤健(33)が、ナース役は上白石萌音(24)が演じた。

「あんなにドSな先生のハートをつかんで、夢中にさせる七瀬がすごい!」(37歳·栃木県)、「純粋無垢で天然な女の子と、ストイックで冷徹な先生の相性が、悪いようで絶妙に中和されていくのが面白かった」(27歳·岡山県)

通称“恋つづ”と呼ばれ、大きな話題となった王道ラブコメディー。一方で「最近のドラマなのに、ここまで王道のステレオタイプドSと田舎女子の組み合わせに古さを感じる」(25歳·広島県)、「都合よく倒れる、事故る。ベタベタな都合のいい少女漫画みたい。そんで上白石が芋くさすぎる」(30歳·鹿児島県)といったネガティブな意見も見受けられた。

「『花より男子』の道明寺司もそうでしたが、いつの時代でも恋愛ドラマや漫画、女性向けの恋愛ゲームでも“俺様系”や“S系男子”は断然人気。しかし現実に俺様キャラやドS男性と交際、結婚したらどうなるでしょうか?『オラオラ男に恋して相手の思いどおりにされたい!』なんて女性はそうそういない。リアルではありえない設定にキュンとした人、違和感を覚えた人に二極化したのでしょう」

4位『六本木クラス』竹内涼真&平手友梨奈

4位の『六本木クラス』(’22年、テレビ朝日系)は、サクセスストーリーを描く熱い男を演じた竹内涼真(29)と、献身的に支える女性を平手友梨奈(21)が演じた。

『六本木クラス』(’22年、テレビ朝日系)で共演した竹内涼真と平手友梨奈

「葵の一途な思いに、新が心動かされたのがグッときた」(28歳·山口県)、「素直に気持ちを伝える女性に、ラストで応えるハッピーエンドが心地よかった」(33歳·京都府)

前出の神崎さんは「女性だからと受け身にならず、自分から積極的に行動して気持ちを伝えていくのが大事だと勇気を与えるドラマ」と諦めなかった女性のひたむきな思いが支持を得たと分析。

ただ、『六本木クラス』については否定的な意見も。「まっすぐすぎる新と一途すぎる葵、こんな人たち周りにいない」(28歳·愛知県)、「韓国版が頭から離れず不釣り合いに見えた」(34歳·三重県)

神崎さんもリアルな“職場恋愛”と捉えるなら、微妙な面があると話す。「周りへの気遣いに欠ける場面は幾つかありましたよね。人を味方につけられない恋愛や、応援してもらえない恋愛というのは多くの場合、視聴者は疑問を感じるのでしょう」

5位『やんごとなき一族』松下洸平&土屋太鳳

5位の『やんごとなき一族』(’22年、フジテレビ系)は、庶民の家庭から上流社会の一族に嫁いだ女性が主人公。理不尽な一族のしきたりや親族内の複雑な人間関係に翻弄されながらも、夫とともに真正面から立ち向かい奮闘する。

「苦難を乗り越えていく2人の姿に勇気をもらえた」(29歳·千葉県)、「2人とも毒がなく心が健康的な感じが合っていた」(36歳·東京都)

神崎さんは女性も“玉の輿”という言葉に飛びついた時代は昔の話だと指摘。

「ひと昔前は高学歴?高収入?高身長という“三高”がステータス。でしたが、時代とともに女性が結婚相手に求める条件は変化しています。贅沢よりも“安らぎ”“安心感”なのです」

健太(松下洸平)と佐都(土屋太鳳)から「次の世代のためにも今の時代の私たちが変えていかなきゃ」というセリフがあったが、古い価値観に立ち向かう姿勢に共感を得られたのかもしれない。

「ありえない」カップルの組み合わせは?

続いて「ありえない」カップルランキングの結果を見ていこう。

1位の『となりのチカラ』(’22年、テレ朝系)は、松本潤(39)と上戸彩(37)が夫婦役を務めるホームコメディー。思いやりと人間愛だけは人一倍、だけど何をしても中途半端で半人前な主人公の男と、よく怒るけど明るく一家の大黒柱のような妻。「夫婦の性格が正反対すぎて不釣り合い」(30歳·千葉県)、「夫婦関係にリアリティーの薄さを感じる」(37歳·茨城県)

“強い妻”という夫婦関係はうまくいきそうではないか。しかし神崎さんは指摘する。

「今どきの理想の夫婦像は『対等であること』です。言いたいことがあったらお互い口にできることが大事。だから、現実とかけ離れた印象になったのかもしれません」

2位の『初めて恋をした日に読む話』(’19年、TBS系)は、恋も受験も就職も失敗した32歳のアラサー鈍感女子がイケメン3人にアプローチされるという設定。深田恭子(39)、永山絢斗(33)、横浜流星(26)、中村倫也(35)が出演。

「年の差がありすぎて無視できない」(39歳·東京都)、「設定に無理がある」(32歳·静岡県)

一見うらやましい設定に思われるが、神崎さんは非現実的な部分などを指摘。

「イケメン三人衆から思いを寄せられること自体、現実離れした設定。ヒロインのモテっぷりがよすぎて、しかもイケメンに言い寄られているのに鈍感すぎるキャラも女性視聴者には鼻につくのかもしれません」

3位の『オー!マイ?ボス!恋は別冊で』(’21年、TBS系)は、人並みで普通の幸せを手にしたいという今どきの安定志向の女性編集者と“子犬系”御曹司のカメラマンの恋。上白石萌音(24)と玉森裕太(32)が演じた。

「仕事ができなすぎる彼女に惹かれるというのは実際にはない気がする」(25歳·山口県)、「仕事がうまくいっていないのに恋だけトントン拍子でズルい」(35歳·神奈川県)

神崎さんのもとにも、この恋愛、なんだかイライラするという声が届いていたという。

「普通の女性がイケメンを振り向かせるには“そのままの自分”で受け入れてもらうことはなかなか難しい。女性側にも相当な努力も必要になってきますからね。なんといっても視聴者が納得できないのは主人公の奈未さんの仕事ができなすぎるところではないでしょうか」

恋愛面だけでなく、いつも上司が尻拭いし周りが振り回されるという仕事っぷりにイラッとしてしまったのかも。

『六本木クラス』、『トドメの接吻』(’18年、日本テレビ系)、『恋はつづくよどこまでも』が同票で4位に。

『トドメの接吻』は、金と権力に強欲な人気ナンバーワンホストの主人公が、謎の女とキスをすることで1週間前にタイムリープし、次々と欲しいものを手に入れながら過去のある事故の真相を探っていく、ミステリアスなドラマ。主演に山崎賢人(28)、門脇麦(30)が出演。

「2人の波長が合っていない」(26歳·静岡県)「なぜお互いが惹かれたのかが理解できなかった」(30歳·富山県)と否定的な意見が多かった。

今どき、どんな恋愛ドラマがウケるのか。

「ホラーやアクションドラマと違い、恋愛ドラマにおいては『こんなこと絶対にありえない!』という展開に視聴者はシラケます。大半の方が『人を好きになること』や『恋愛においてのしくじり』を体験しています。そして『このドラマの2人のような恋愛をしてみたい』という浮世離れの恋愛よりも『あぁ、こんなダメな恋愛ってあるよね』『うわ、この男サイテーじゃん』と同じ目線で視聴できるほうが感情を揺さぶられるはずです」

『逃げ恥』でいうと、「偽装結婚」という設定は非現実的ながら、2人が歩み寄っていくさまや相手の心を開くためのお互いの努力など、心理的な部分は共感できるところが多かった。神崎さんが指摘するように、実体験でありそうな“リアルな感情”で共感が得られること。「ああ、こういう人いる!」「似たような経験したな」と共感できる箇所が多いかが、惹きつけるドラマになるかどうかの鍵になっているようだ。

今、女子の共感を呼んでいる『silent』、今後の展開に注目だ。

神崎桃子(かんざき?ももこ)恋愛事情専門家、恋愛コラムニスト。男女問わずあらゆるカテゴリーの恋愛にフォーカスできる恋愛専門家。著書には『なぜ女はこんなことで怒るのか?不機嫌な彼女をなだめる10の掟』(インプレス)などがある。

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