為替相場の急激な「円安」を受けて、日本で暮らす外国人が悲鳴を上げている。その理由は、日本から海外に送金する「お金の目減り」だ。外国人がよく利用する福岡市内の送金所を緊急取材した。
海外送金所を訪れる人の姿は少なく
岸本貴博記者: 福岡市博多区の送金所です。円安の影響で、ここを利用する外国人が減っているということです 世界180カ国以上に、ほぼリアルタイムで送金ができる「KYODAI」。昼休みの時間帯は、技能実習生や留学生が故郷への送金のために行列を作ることもあるそうだが、この日は外国人の姿はほとんど見られなかった。その理由について、KYODAI博多駅前支店のマネージャーは次のように語る。
KYODAI博多駅前支店 ラム・クリシュナマネージャー: 最近、円が安くなって、みんなそれぞれの国に、自分の家族のために稼いでいるお金をホールドしているかもしれないです。
為替レートの関係で、今の「円安」の状況で日本円を海外に送金すると、海外で暮らす家族が受け取れる金額が大きく「目減り」してしまうのだ。政府、日銀は9月22日、1ドル = 145円台を記録したことを受けて、24年ぶりに「円買い・ドル売り」の為替介入を実施。一時は140円まで戻した。しかし、この送金所を取材した10月3日は、再び円安が進んで約10日ぶりに145円台に戻った日だったのだ。
「心が痛い」…円安でも家族のために送金“心痛”
午後4時半、日本語学校の授業を終えたネパール人留学生がようやく姿を見せた。この留学生は、アルバイトで稼いだ「1万円」を家族のために送金。その日の為替レートで換算すると、「8,500ネパールルピー」になる。しかし、数年前は同じ1万円で「1万3,000ネパールルピー」を送金できたという。
(Q.日本でアルバイトは何を?) ネパール人留学生: お弁当を作っている。日本円、上がってほしいです。心が痛いです 今のような「円安」の状況でも、どうしても家族にお金を送らなくてはいけない外国人は多くいる。KYODAI博多駅前支店スタッフ タパ・カビルさん: ミャンマー人のお客さんが、送金中に為替レートが一気に下がったから「あらー!」みたいなことがあったが、どうしても家族にお金を送金しないといけないという話だった。
留学生に非常に厳しい状況…労働時間の制限も
30分後、ネパールから日本に来てまだ4カ月というタバ・ブタールさんが店を訪れた。(Q.日本円の価値が下がっていますが、どう感じていますか?) ネパール人留学生 タバ・ブタールさん: とても悲しいです… 日本語を学んでいるタバさんは、最近、コンビニエンスストアでアルバイトを始めたという。ただ、留学生が働ける時間は法律で「週28時間以内」と決まっている。目減りした仕送りを増やしたいからといっても、時間を無視して働くことはできない。
ネパール人留学生 タバ・ブタールさん: 私は、アルバイトして稼いだお金で授業料を払ったり、生活に必要なものも買ったりしています。日本は物価がとても高いので、今の円安の状況は、留学生にとって非常に厳しい…。円高になるのを待っています KYODAI博多駅前支店 ラム・クリシュナマネージャー: 本当に円安なので、これは我々のせいではないから、世界的にいろいろ問題があると思うんですけど、これからはしっかり我々の仕事をやるしかないと思っています 遠い故郷を思いながら日本で暮らす外国人は、「円安」による痛みを強く感じている。(テレビ西日本)