衝撃! 日本語能力試験で不正横行、試験開始15分後に解答配布?

岸田首相が「我が国の宝」と呼ぶ留学生の間で、日本語能力試験での不正疑惑が持ち上がっている。なぜ、そうまでして日本語力の証明を欲するのか?その実態に迫った。

「日本語能力試験」の成績で就職も有利に

22年9月、岸田首相が海外から優秀な外国人材を受け入れるための制度拡充を表明。他の先進国同様、日本も高度外国人材の獲得に舵を切る方針を明らかにした。

その際の条件の一つとなるのが日本語能力試験(以下、JLPT)の成績である。

「活動内容に応じて項目ごとにポイントを設け、合計70点に達したらビザの延長や規制緩和などの優遇措置が与えられるのが高度外国人材制度。そこで、最上級の『N1』とそれに次ぐ『N2』保有者は特別に10~15点加算されます。日本企業への就職も有利になります」(外国人問題に詳しいジャーナリスト)

特にN1は「特定活動46号」(製造業、飲食業、コンビニなどでのフルタイム就労)資格取得には避けては通れない条件だ。

「合格保証」を謳う業者が暗躍している!?

こうしたなか、JLPTで不正行為が横行しているという疑惑が持ち上がっている。都内の日本語学校に通う20代の中国人留学生は話す。

「スマートウオッチを使ったカンニングで合格している人がいる、とクラスメートの間で話題になっています。私も2回ほど受験したことがありますが、試験監督が見回りもしないし、監視の目も緩い」

JLPTは、それぞれ公的機関である「日本国際教育支援協会」と「国際交流基金」によって運営されている。当然、不正行為対策も厳しく行われているはずだが……。

試験開始15分後に解答が送信されてくる

前出の学生によると、カンニングを斡旋する業者が存在し、WeChat(中国版LINE)で集客しているのだという。在日中国人向けのグループチャットを見せてもらうと、複数の中国人業者が「日本語能力試験・合格保証」と謳う広告を掲載していた。

そこで、記者が留学生を装い業者に接触すると、業者は手口を次のように説明した。

「試験会場では電子機器類はカバンにしまうことになっているが、スマートウオッチのベルト部分を外し、本体部分を手の中で握っておけば見つからない。試験開始から15分ほどで解答をスマートウオッチに送る。オススメはサイズが小さいApple Watchのシリーズ3だ。試験の数日前になったらビデオ電話で具体的な流れを説明する」

これは受験会場に送り込まれた協力者がカメラ機能つきガジェットで問題を撮影して外部に送信し、解答を返信していると考えられる。さらに費用については、全部で30万円。前金として15万円、合格後に15万円をWeChatペイで送金せよとのことだった。

業者は、実際に利用し合格した留学生たちから寄せられたとみられる感謝のメッセージなども複数公開しており、現在は12月に行われるJLPTに向け、合格保証を謳う宣伝を発信し続けている。

「努力の結果と言われてしまえばそれまで」

日本語教師で、日本語学習に関する情報を発信するカキアゲ氏は一連の問題についてこう懸念している。

「日本語教師であれば、心当たりのある人はかなりいると思います。特に中国人留学生については、同じ漢字圏であるとは言え、N5(最低レベル)の生徒がいきなりN1に合格することは本来あり得ないのですが、そうした学生が少なからず存在していることは確かです。

ただ、努力の結果と言われてしまえばそれまでで、深く追及することもない。合格者数は学校の実績にもなりますので。また、受験票の写真を本人だとわからないほど加工する人もいるので替え玉受験もあり得るとみています」

不正行為への対策は?

一方でJLPTを運営する日本国際教育支援協会に聞く。

「現在の対策としては、各試験教室に複数の監督者や監督補助を配置しています。また、不正行為の定義を定めそれに該当する行為があった場合はしかるべき措置をとるようにしています」

具体的な対策内容、およびそのような業者の存在の把握については回答不可とのことだった。

日本の外国人政策の信用失墜にも繋がるだけに、疑惑に対しては厳しい対処を願うばかりだ。

大学への不正入学も!?「カネと面接だけで合格」

件のカンニング業者らは、日本の一部の私立大学についても「合格保証」を謳っている。特に多いのが大学院の合格保証に関する広告で、具体的な大学名までもが明記されている。

記者がメッセージを送ったところ、「私立T大学大学院については120万円で可能だ。学習計画書など大学側に提出する書類はすべてこちらで用意をするので受験生は面接のみ形式的に受けるだけでいい。面接で答えるべき内容もこちらが用意した文言を暗記すれば問題ない」と説明された。ほか、○大学など有名大学の名も挙げた。

とある在日中国人留学生は、「数年前に友人が業者の仲介で都内の大学に入学しました。友人は日本での在留資格が欲しくてその大学に入りましたが、結局、授業にはまったく出ず中国に帰国しました。その大学は大量の留学生が行方不明になったことでニュースでも取り上げられていました」と証言する。

なかには、勝手に名前を使われている大学もあるだろう。こうした業者の引き合いに出される大学側も「被害者」と言えるのではないだろうか……。

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